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不動産の価格を調べる(宅地・戸建て)

こんにちは。

 「この家を売ったらいくら位なのかなぁ」
 不動産業に携わっていると、必ず聞かれる質問です。
 「この辺の相場だと、だいたい坪○○万円ですよ。そして、建物があるので全部で○○○○万円位でしょう。」
 今でこそ、その場で答えることができるようになりましたが、業界初心者の頃はいくら位だろう…と、聞かれる度に調べていました。

 今回は、査定書を作成するような本格的な価格査定ではありませんが、「不動産のおおよその価格を知る」ということを目的にして、簡便な方法で査定してみたいと思います。
 前提として、今回は、住宅地や一般的な戸建て住宅の売買を想定することにします。
 収益不動産や分譲マンションでは査定方法が異なりますので、またの機会にお話しできればと思います。

 まず、戸建てを連想したとき、土地と建物という2種類の不動産が思い浮かびます。
 この2つは同じ不動産でも、査定する中で大きく異なりますのでご注意ください。
土地については、不動産の中でも定価というものがありません。また、同じ物は2つ存在しない唯一無二であるという点や建物と違って経年劣化という考え方が当てはまらないというのが土地の特徴です。なので、最終的に土地の価格には、売り手と買い手の希望が大きく影響します。
 建物については、土地と異なり唯一無二ではなく、同じ建物を作ることは可能です。建築時期や基礎や材料によって価格は異なりますが、おおよその価格は木造なら坪○○万円、鉄筋コンクリートなら坪○○万円という参考価格があります。また、土地と違って経年劣化もします。

 このような区別を考えながら、私共、不動産業者は、売却相談に基づいて価格査定をする場合には、地域的な相場や個別の条件、利用目的、購入客層といった多角的な視点から、実際に売れるだろうという金額を査定することになります。「収益還元法」「原価法」「取引事例比較法」といったような言葉を聞かれた事がある方も多いと思いますが、物件毎にそれぞれの査定方法を用いて計算します。
 ※因みに、不動産業で作成する不動産査定は、不動産鑑定士が作成する不動産鑑定評価とは異なり、売却する際の参考になるものと考えてください。

 ちなみに、今回の計算を手書きでするとこんな感じです↓↓(見難いですが、すみません。)
 2019100701.jpg

土地の査定について
 今回は、弊社の住所「鹿児島市唐湊1丁目15番12号」で試してみます。
 土地の価格の参考になるものには、相続税や贈与税を課税するための「相続税路線価」、固定資産税を課税するための「固定資産税路線価」、「公示地価」、「基準地標準価格」などが公表されています。今回は、この中から「相続税路線価」と「公示地価」、合わせて売買事例(売物件の募集広告)を使用したいと思います。

①相続税路線価÷0.8
 相続税路線価は市価の8割とされていますので、路線価÷0.8で計算してみます。
 2019100702.jpg

 弊社の敷地の全面道路は「77F」と書かれています。
 「F」は借地権割合を表すものですので、今回は気にせず飛ばして、数字の方、「77」を使います。
※相続税路線価は1㎡あたりの単価を1,000の桁で切り捨て表示しています。
 「77×1,000=77,000円」      ①相続税路線価に1,000を掛ける
 「77,000円÷0.8=96,250円/㎡」   ②相続税路線価を0.8で割る(市価に合わせます)
 「96,250円×3.30579=318,182円/坪」③㎡を坪に換算する(1坪は3.30579㎡)
 従って、1坪あたり30万円~32万円くらいとなります。
 ただ、路線価は標準的な土地の価格ですので、広すぎたり狭すぎたり、奥行きが長かったり、高低差があったり、旗竿地だったりという個別の事情がある場合には、この価格に修正を加えて考えます。
 相続税路線価図は(http://www.rosenka.nta.go.jp/)から閲覧・取得できます。

②公示地価と比較する。
 公示地価は、その地点での正常価格(適正価格)を表すということで路線価と異なり市価の何割というものではありません。
 近くや似たような地域の「公示地価」を探してみます。
 2019100703.jpg
 
 今回は、「鹿児島市唐湊4丁目1867番3外(住所は鹿児島市唐湊4丁目18-32)」が近くにありました。
 鹿児島市唐湊4丁目1867番3外の公示価格は72,500円/㎡(公示地価も㎡あたりの価格となっています)
 次に、鹿児島市唐湊4丁目1867番3外の相続税路線価も調べます。
 2019100704.jpg

 先程と同じように調べると、前面道路は「58F」となっています。
 路線価と公示地価の比率を計算すると、
 [鹿児島市唐湊4丁目1867番3外]
  公示地価72,500円÷相続税路線価58,000円=1.25倍
  鹿児島市唐湊4丁目1867番3外の公示地価は相続税路線価の1.25倍であることが判りました。

 これを鹿児島市唐湊1丁目15-12に当てはめると、
 [鹿児島市唐湊1丁目15-12]
  相続税路線価77,000円×1.25倍=96,250円/㎡
  96,250円×3.30579=318,182円/坪 (1坪当たりに換算します。)
  従って、1坪あたり30万円~32万円くらいとなります。
  今回は、「①路線価÷0.8」と同じ金額になりました。

 公示地価では、評価するにあたってその土地の利用形態や形状等も公表されていますので、調べたい土地と比べてどうなのか(広すぎたり狭すぎたり、奥行きが長かったり、高低差があったり、旗竿地だったり)という個別の事情を加味して価格を修正してください。
 公示地価はここ(http://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=2&TYP=0)から閲覧できます。

③売買事例(売物件の募集広告)と比較する。
 近くの売買事例を探してください(住所まで判るものを準備して)。
 今回は、弊社と同じ唐湊1丁目14番○○号として「40坪で1,400万円(坪35万円)」の売買物件があると仮定します。
 2019100705.jpg

 計算の方法は、公示地価のときと同じような方法となります。
 唐湊1丁目14番○○号の価格は35万円/坪。
 次に、唐湊1丁目14番○○号の相続税路線価も調べると、前面道路は「73F」となっています。
 路線価と売買価格(坪単価)の比率を計算すると、
 [唐湊1丁目14番○○号]
  売買価格(坪単価)350,000円÷(相続税路線価73,000円×3.30579)=約1.45倍
  唐湊1丁目14番○○号の売買価格(坪単価)は相続税路線価の1.45倍であることが判りました。

 これを鹿児島市唐湊1丁目15-12に当てはめると、
 [鹿児島市唐湊1丁目15-12]
  相続税路線価77,000円×1.45倍=111,650円/㎡
  111,650円×3.30579=369,091円/坪 (1坪当たりに換算します。)
  従って、1坪あたり35万円~37万円くらいとなります。

 公示地価と同様、売買事例(売物件の募集広告)が調べたい土地と比べてどうなのか(広すぎたり狭すぎたり、奥行きが長かったり、高低差があったり、旗竿地だったり)という個別の事情を加味して価格を修正してください。

 ちなみに、路線価や公示地価を調べるには、「一般財団法人資産評価システム研究センターの全国地価マップ(https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal?mid=216)」が使いやすくておすすめです。

 結果、弊社所在地の土地価格は、以下の通りとなりました。
 ①30~32万/坪
 ②30~32万/坪
 ③35~37万/坪
 おおよそ35万円/坪前後といったところが相場でしょうか。

建物の査定について
 建物については、基本として建築単価と経過年数を基に算出します。

Ⓐ建物の標準的な建築価格×延べ床面積÷Ⓑ耐用年数×(耐用年数-経過年数)

Ⓐ建物の標準的な建築価格
 建築単価については、「建物の標準的な建築価額表」が参考になります。
 2019100706.jpg
 2019100707.jpg

※「国土交通省の統計データ」や「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」で確認できます。
  譲渡所得の申告のしかた(記載例)の方が見易いかと思います。検索で「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」とか「建物の標準的な建築価額表」と検索してみてください。

Ⓑ耐用年数
 耐用年数については、構造によってそれぞれ分かれます。
 木造… 22年
 軽量鉄骨造… 3㎜を超え4㎜以下 27年
           3㎜以下       19年
 鉄筋コンクリート造… 47年

※詳しくは、国税庁のホームページに耐用年数表が掲載されています。検索で「耐用年数表」と検索してみてください。

 サンプルとして下記のような建物の場合で計算してみます。
 竣工:平成21年(2009年)
 構造:木造
 延べ床面積:40坪(132㎡)

 先程の「建物の標準的な建築価額表」によると、平成21年の木造建築物は、156,600円、木造建築物の耐用年数は22年なので、計算すると↓↓
 建物の標準的な建築価格156,600円×延べ床面積132㎡÷耐用年数22年×(耐用年数22年-経過年数10年)=11,275,200円

 こうして得られた結果、建物の価格は11,275,200円ということになりましたが、ここにリフォームの有無や材質の違いというのを加味していくことになります。

まとめ
 こうして、土地と建物の査定額を合わせたものが、「この家を売ったらいくら位なのかなぁ」の答え、「この辺の相場だと、だいたい坪○○万円ですよ。そして、建物があるので全部で○○○○万円位でしょう。」ということになります。

 ちなみに、上記の例で土地が40坪だった場合には、以下のような結果が査定の参考になります。
(土地 35万円×40坪=14,000,000円)+(建物 11,275,200円)=25,275,200円≒2,500万円

 ただ、今回は、住宅地や一般的な戸建て住宅の売買を想定して査定しました。
 不動産の価格には、用途や地域的な要素が大きく関わってきます。
 土地について述べれば、人気がある住宅地やマンションが建てられるような商業地では、路線価や公示地価より数倍も高い価格で取引されます。弊社の在るような住宅地に近い地域だと、「路線価や公示地価」と「売買事例」の価格差はあまり発生しませんが、地域的な要素によって価格に影響を受けますので、「売買事例(売物件の募集広告)と比較する」の方法を用いて査定してください。
 また、分譲マンションの場合には、紹介した方法とは異なる評価方法を用いることになりますし、収益不動産であれば賃料収入が見込める点からまた別の評価方法を用いることになります。

 始めに書いたように、私共不動産業者としてはもう一歩踏み込んで、地域的な相場や個別の条件、利用目的、購入客層といった多角的な視点から、実際に売れるだろうという金額を査定することになります。ここからは、不動産業者の味付け(経験や相場感覚、購入される方の資金計画の想定)といったところでしょうか。
 不動産業者に相談するほどではないが、おおよその相場が知りたいと思った時には、ここで紹介した方法を参考にしてみてください。紙とペン。電卓とインターネットがあれば、専門的な道具や知識、ソフトはなくてもできますので。

 ちなみに、不動産の相場価格を知るというのは、売却するときだけではなく、不動産を購入しようとする場合の目安としても大切です。安すぎたり高すぎたりする場合、何らかの理由があるのが通常ですので、大切ですよ。

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テーマ:住宅・不動産 - ジャンル:ライフ

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Author:エム管理不動産(永田行政書士事務所)
エム管理不動産(永田行政書士事務所)では「不動産取引」「分譲マンション管理組合支援業務」「行政書士業務」を行っております。

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